読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

OZMAFIA!!-vivace- カラミア・キリエ・アクセル・ソウ・総合感想

OZMAFIA!!-vivace- 乙女ゲーム感想
●ソウ
死ぬEDが「Phantom」、フーカの記憶から自分を消すEDが「Protection」、どちらもタイトルが趣深い。でも乙女ゲームに対して変なことを言うけれど、ソウにとってはフーカを好きになるEDはあくまで派生の世界線であって、ドロシーのためにフーカを塔へ導き、ドロシーのためにフーカの存在を消す、あのEDこそがソウの真実なんだろうなと感じた。

駆け落ちするシーンからずっと流れていた「子どものままごとみたいな恋」的な空気が、ソウのあらゆる言動から感じ取れるのは、ソウの存在自体が嘘ものだったからなんだなあ。だからやることなすこと全部が作り物みたいだったんだなあ。
それにしてもフーカは時折、いや結構な頻度で、マフィアっぽい世界観を全力で殴打してくるぶっとび言動を見せてくれるけれども、ドロシーは本当にフーカが理想型なの? ドロシーちゃんそれでいいの?? オズファミリーに入っておきながら、「ソウにこれを伝えなくちゃ!」って走って行かれた時は思わず驚愕で顎が外れた。よく背後から撃たれなかったものだとキリエの忍耐を褒めたい。
 
ちなみに、ソウについてはハーメルンルートに地味に好きなシーンがあって、数日間世話を放棄したフーカに、ソウが「もう、飽きちゃった?」と軽く声をかけるところです。人畜無害な顔をしているけれど、どうすれば相手が傷つくか、全部わかってる感じがよく出ているなあと思う。
 
 
●アクセル
しちめんどくせえキャラだった。こいつが好きだというパシェを真面目に尊敬する。もうどうか2人で幸せになってほしい。某数学系クローバーメガネキャラといい、この童貞といい、私はどうもこういうキャラには上手く萌えられない。さっさとカラミアやキリエに乗り換えたくてうずうずした。
しかし、寝取りルート派生ではDTとは思えぬ華麗さでベッドインをかますのに、自分本来のルートではキスもできないとは一体どういうことなんだ。
 
 
●カラミア
カラミアの魅力の半分は、新垣さんのボイスでできていると思う。それぐらい声に魅了された。朗らかさ、ちょっとした諭し、激高、苦笑、呆れ、全部違う声音で、親しみやすいお兄さんと近寄りがたいマフィアのボスが共存している不思議な魅力がどんどん伝わってきた。何度も同じことを言うけど、声優さんって本当にすごいと思う。

乙女ゲームの王道を真ん中からひた走るようなカラミアルートは、私が「お嬢さん」呼びに非常にときめくこともあり、始終少女漫画のようなキュンキュン具合を噛み締めながらプレイできた。基本スタイルが黒スーツ黒ネクタイに毛皮コートの肩羽織り、というマフィア王道スタイルなのもとても良かった。プレイ中の私の微笑みはさぞかし気持ち悪かったことと思う。
 
そしてカラミアとキリエといえば寝取りルートのぶっちぎりCEROレート上げっぷりには度肝を抜かれた。やはり人のものを寝取る展開の方がどちらも開放的になってしまうのは、背徳感のなせる技なのだろうか。いきなり首筋に噛み付いちゃうカラミアさんマジ野獣だし、自由自在にどこでもサカれるボス最高です。

三角関係ルートの良さは、キリエとカラミアでこそ生きると思っているので、この2人のやりとりは本当に何度見ても飽きなかった。恋人ごっこしてみるか、とあっけらかんと誘い、フーカが弱ったところを慰め、カラミアさんの寝取りスキルはんぱないです。あっさりブチ切れて銃を抜いてしまうシーンなんて最高にマフィアっぽい。先の展開を全部読み切って煽るキリエと、普段なら歯牙にもかけない程度の簡単な煽りに乗せられてしまう、余裕のないカラミア。

カラミアのこの余裕のなさ、熱さこそキリエが持たないもので、羨望の対象ですらあるのかもしれない。本当は誰より臆病なキリエは、カラミアのように、俺のところに来い、と真っ向勝負ができないからです。「あなた、相談役の素質があるんじゃないですか」のセリフに、もうフーカを失うことが分かってしまった悲しみとか、みっともなくすがれない自分への哀れみとか、その気持ちを気づかれてないとでも思っているのかというカラミアへの苛立ちとか、そういうものがないまぜになっていて非常によかった。あれ、これキリエさんの話してますね。
 
この2人については、ヘングレの2人が屋敷に突撃してくるシーンがとても好きで、キリエとのコンビは最高に息が合っているんだなとしみじみ思う。ボスをボスとも思わない言動のキリエと足蹴にされるカラミア、だけれど、いざというときにはきちんとキリエがカラミアを立て、カラミアは鶴の一声で命令を発する。象徴として組を率いていく者と、影となり光を支える者、どちらもがどちらもの価値と苦悩を理解して、離れはしないが近づきすぎもしない。言葉にせずとも分かっている。この2人で三角関係をやろうと発案した人は本当に天才だと思う。
 
 
●キリエ
彼のためにグランドフィナーレまでこぎつけたと言っても過言ではない。蓋を開けてみれば、OPもEDもキリエの曲じゃないか。しかも相手はフーカじゃなくてドロシーのことじゃないか。誰もが忘れてしまった少女のことをひたすら待つ日々。事情がわかってみれば、流星群祭りでの会話や、葬列を見かけた時の、カラス先生のことだけを言っているのではないやりとりに、切なさ以上の慟哭のようなものを感じた。これだけ辛くてもキリエだけは忘れられないし、死ぬこともできないんだよなあ。
 
頭の良さ故に恋も頭でやり、傷つく怖さに予防線をひたすら張るキリエルートは、本筋・寝取り含めて非常に美味しかった。カラミアは寝取りルートの良さが際立っていたけど、キリエは本ルートも寝取りもどっちも好きです。

本ルートでは、先が見えるつまらなさに刹那的な関係ばかりを続けてきたキリエが、頭で解決できないフーカとの恋に翻弄される様が楽しくて楽しくて仕方なかった。単純バカのくせにキリエの仕掛けの上をいき、ちっとも予想通りに動いてくれないフーカ。手のひらで踊らせているつもりで、最初は確かにそうだったのに、いつの間にかフーカから目が離せなくなっていて、気づいているのに認めたくない心の揺れ動くさまに笑いが止まらない。もうフーカなしで生きていけなくなってしまえばいいよ。
本ルートEDで「スパゲッティで首つって死んじまえ」な2人は全カップル中最凶だと思う。フーカは自分で銃を撃つことはないかもしれないけど、キリエを困らせる相手には「えっと、じゃあ、死んで♡」とか満面スマイルで言い放ちそう。
 
そしてキリエといえば安定の寝取りルートでございますが、さりげなくフーカに近づいていくアクセル派生と、さりげなく2人を引き離していくカラミア派生、どちらのルートもキリエの暗黒具合が素晴らしく、大変美味しくいただける完成度だった。特にカラミア派生の「カラミアは、こういうことは教えてくれなかったのですか? いいですね、新雪を踏んで汚すような楽しみが味わえそうです」には血を吐きそうで我慢するのがしんどかった。「誰にも聞かせたことのない声で啼いてください」の一言で私は確信した。遠くないうちに執務室プレイ入りますよ。ドロシーちゃんは、いろんな仲間を作成するのはいいけど変態ばっかり作りすぎだと思います。


というわけで無事にフルコンプした。とんでもない時間がかかったけど、グランドフィナーレまでしっかり見届けて良かった。ハーメルンと対峙して泣くスカーレットと、ファミリーを優しく呼ぶハーメルンを見られただけで報われるというものだ。止まっていたキリエの時間も動き出し、私の長い長いプレイは終わったけれど、キャラクターたちの物語はここから始まるんだなと思った。
終わった後に余韻が残るゲームはいいゲームだと私は思う。オズマフィアはそういうゲームだった。プレイできてよかった。
 
PCからの移植作であるために、ウィンドウに文字を無理やり収めて改行箇所がおかしかったり、撮り直したボイスと元々あったボイスの音量が違ったり、気になる部分はあるけれど、そんなのは瑣末なことだと思う。スタッフロールに表示された数少ないスタッフさんで、これだけ愛とボリュームに溢れたゲームを作り出してくれた、その事実だけで私は感激で胸がいっぱいになる。PCのままではプレイすることはなかっただろうから、Vitaに移植する決断を下してくれて心から嬉しい。ありがとうございました。このメーカーさんが次回作を出すのならぜひ買いたいし、ゆーます氏がシナリオを書くなら他メーカーさんでも買おうと思っている。
え、さといさんイラストの某吸血鬼ゲームは買わないのかって? すみません、よく聞こえませんでした(by マンボイ)
 
次は遥か6に突撃します。