立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

遙かなる時空の中で6・ルード、村雨ルート感想

●ルード
遥か6をプレイして感動したことのひとつに、「テキストの美しさ」がある。日本語として自然で美しく、かつ、ほとんど1画面で完結している。2画面にまたがることがほとんどない。1画面のテキスト量はあまり多くない中で、必要な情報をきちんと伝えつつ、これだけ美しい日本語にまとめることは、簡単にできる仕事ではないと思う。テキストで魅せるということに誇りさえ感じて、もうなんだかこれだけで、このゲームを買ってよかったなとしみじみ感じてしまった。ネオロマシリーズを長くプレイしてきた方には、気になる部分もあれやこれやとあるのだろうけど、何も知らずに触れるとこんなに完成度の高いゲームはなかなかないと思う。
 
ルードは、序盤のクールさがグッダグダになって神子に落ちていく様子が素晴らしい、少女漫画のようなときめきメモリアルルートだった。年下には萌えないとか思っていた過去の自分を湖に放り込みたい。恋戦記でも仲謀やら子龍に萌えていたではないか。花まにでも燈太エンドがないことに血の涙を飲んだではないか。年下好きじゃねえかこのやろう、すみません取り乱しました。立花さんの演技の素晴らしさも相まって、面倒をみるうちにだんだん目が離せなくなっていくルードの変化にニヤニヤが止まらなかったです。

梓の失敗料理、裁縫指導、こんな序盤の小さなエピソードが、最後の最後までしっかり展開に絡んでくる、この美しいまとめ方はなかなかできるものじゃないと思う。本筋の中で梓とルードが共に成長し、お互いのおかげで変わっていく姿が眩しくて目がくらむ。劇を見ながらルードが笑いをこらえきれなかったあたりから、このあとの急速なデレを受け止めるべく、Vitaを握りしめる手汗がひどかった。雨宿りのあとの「予想より早く止みましたね」とか、もうこのピュアボーイの力で帝都を浄化できる気がしませんか? しますよね?
 
ダリウスの行動について客観的な視点を持てるようになり、自分の意志を持つようになることで、心酔していただけの時よりもより近い目線で物事を見て、本当の意味でダリウスに寄り添えるようになっていったのがとても印象的だった。薄桜鬼の、斎藤さんと土方さんの別れを思い出した。梓がハンカチに縫った「ルードハーネ」の拙さに、ニヤニヤしたいのか笑いたいのかわからず頬の筋肉が攣りそうだった。

梓を救うために初めてダリウスの命令に背を向けるシーンは、確かに展開は読めるし王道ではあるけれど、これ以上にないぐらい胸を打つ素晴らしい出来栄えで、涙が止まらなかった。その後の全力売り込み、最後のキスシーンまで含めてもうごちそうさまですとしか言いようがない。ごちそうさまです。

設定を活かしきり、伏線を回収しきり、かつ伏線ひとつひとつを質の高い萌えエピソードとして繰り出してくるこのルート。まだコンプリートしていないけれど、冗談抜きに、クオリティとはこういうものだ!と魂に刻み込まれる、忘れられないゲームになりそうだと思う。おかげで、エンディングムービーでルードが画面に映ると反射的に口元がニヤける、という気持ち悪いスキルが身に付いてしまった。村野さんどうにかしてください。


●村雨さん
ずるい大人だった。そしてずるい大人がダメになっていくルートだった。弱さを隠さないダリウスよりもずるい大人かもしれません。そしてまさかまさかの、現代からのストーカー(語彙が選べない)であったことに動揺を隠せません。ひとりくらいは現代キャラがいてもおかしくはないが、その可能性に全く思い至らず、選択肢を全部選んで確認してしまった。クイックセーブを初めて駆使した瞬間であった。電車のシーンにそういう意味があったとか…!!!ただ梓の気持ちに気づいていながら見ないふりをするずる大人村雨さんに、噛み締めたハンカチをギリギリするシーンなんじゃなかったのかよー!! ここにきてネオロマが繰り出してくる伏線という名のジャブに足元がふらつきます。ゲームをプレイするってこういうことだったよね…(遠い目)。

この時代の人には馴染みがなく理解されないけれど、村雨さんだけにハート型の意味が伝わる、という演出も甘酸っぱかった。タバコとコーヒー、という匂いの描写が村雨さんだけ強かったのもあって、映画を見ているような気分だった。
 
村雨さんがついに想いをダダ漏れにした時には、思わずガッツポーズをしてしまったし、斜に構えてきた村雨さんが大演説をぶつシーンには胸を熱くさせられた。このルートでは押せ押せな梓ちゃんが大変かわいらしくてよろしい。モボの当て馬ぶりも大変よろしい。もっと押して押して押しまくって、いい年したオッサンを振り回して困らせ続ければいいと思う。