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立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

遙かなる時空の中で6・虎、秋兵ルート感想

遙かなる時空の中で6 乙女ゲーム感想
●虎
声優さんの真骨頂を見せつけられる思いでいっぱいだった。根は悪人じゃないことが明らかであっても、最初からヒロインにだけ甘いと拍子抜けしてしまうので、テリトリー外ゆえの距離感や流儀の通し方をきちんと描いてくれていたのがとてもよかった。最初の剣呑さ、距離の遠さがあってこそ、近づいた時の感動が高まるわけで、梓を川から助けだした時のぜんっぜん襲う気が微塵もない「襲うぞー」の萌え的破壊力がとてつもなかった。

とにかくこのルートは梓が歳相応で微笑ましく、また図体のでっかい虎を次第に手なづけていく様子がひたすら可愛い、予想外の萌えルートだと声を大にして言いたい。白虎戦での冴え渡るルードのツッコミにお腹を抱えて笑った。
 
力がないくせに揉め事に首を突っ込みたがるヒロインは、あまり好きになれない質なのだけど、急に力を持ってしまって周囲にいいように利用されまくる姿をさんざん味わってきたので、圧倒的に生きる力が強い虎の前できちんと無力になれる梓にほっとした。安心して虎に頼っていいんだよという気持ちになった(おばあちゃん目線)。それほど強い虎でもどうしようもないことが、この世には存在する。花火大会の日に虎が初めて微笑みを見せた時は、動揺して変な声が出た。

虎の過去をラスト間際で回収された時は驚いた。まさかここで回収してくるとは予想もしていなかったし、エピソードのたたみ方がお見事だった。弱いとばかり思っていた虎パパが救った子どもが、今度は虎の命を救う。そしてその虎が、また他の人の命を救う。誰かを守ろうとする時に人が強くあれるように、無力な梓が虎を強くする。このゲームのテーマって「家族」や「人とのつながり」なのかなあ、というのもこのへんで朧気に考えたような気がする。

現代への戻り方も自然というか、この2人らしくて素敵だなと思う。最後の虎の挨拶に涙声で応答するルードが輝きすぎて、何度も言うけど遥か6の半分は立花さんの素晴らしさでできています。
 
 
●秋兵
賛成が得られるかどうかはともかくとして、岡本信彦さんの声はとても好きなのだけど、滑舌というか、ちょっと内側に篭もるような?台詞の言い方が、どの役を聞いても非常に気になってしまうのです。

まあ今回はそんなことより、最初のシベリアじゃんけんシーンでの秋兵の口説きスキルにぐうの音も出なかったんですけどね。じゃんけんの手に応じて何を言うか気になってクイックセーブを使い倒しました。私にこれだけの対人スキルがあり、なおかつ位持ちの軍人で参謀総長の息子でイケメンなのだとしたら、日替わりで女子を手篭めにしまくるけれども、秋兵は大変控えめなようなのでとてもよかった(ネオロマ的に)。

王道展開ルートながら、いちばん優しげでやっぱりいちばん闇が深かったなあと思った。諦めることには慣れているという描写があったけれど、もっと他人に興味がないものと思っていたので、それなりに他人の言動に心を動かされる様子があったのは、育ちのよさゆえなのかなとも思った。

頭がよく、先の展開が見通せてしまう損な質だけに、冗談に混ぜて押し出した梓への本音を、これまた冗談で覆い隠してしまうシーンが何度も何度もあり、そのたびにテーブルをひっくり返したくて手が震えた。腹の中はいっちばんドロドロしてるくせによう! もう梓ちゃんなしじゃ息もできないくせによう!!

秋兵が梓を笑顔で送り返そうと無理をするラストシーンでご飯が進む。これで本当に梓が帰っていたら、きっと秋兵は誰より優しく誰にも興味なく、寄る者拒まずで乱れた性生活を送るんだろうなと妄想すると非常に楽しい。咎めたいけど何も言えず、黙って拳を握るだけの有馬隊長。千代ちゃん煩悩を浄化してください。
 
誰よりも家族を欲しがっていた秋兵が、梓から家族を奪うことになる逡巡を経て、このカップルだけきちんと結婚した描写が入ったのには、ゲームのテーマ性についてやはり考えさせられた。家族って、たとえ失っても、自分たちでまた新しく作っていくことができるのかもしれない。それにしても「マダム片桐」の破壊力が凄すぎて、エンディングで真顔になってしまった。結局いちばん手が早かったってことか?