立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

遙かなる時空の中で6・九段、有馬ルート、大団円感想&まとめ

●九段
でっかい犬みたいな人だった。声優さんがAV男優みたいな名前であることばっかり気になってしまったけど、ひたすら千代ちゃんルートだったとだけ書いておきたい。帝国軍側には、言葉の足りなさすぎる隊長と、目が笑ってない腹黒副隊長しかいないので、その中でこの純真さを誇る九段は神子の心の癒しだったことだろう。

この人は現代に戻るEDはないだろうと何故か思い込んでいたので、本当にあっさり現代にやってきた時はびっくりした。千代ちゃんの正体についても全然感づいていなかったので二度びっくりした。


●有馬隊長
最後は有馬隊長でじっくり締めたいと思い、戦闘もスキップなしで最初からプレイした。第2章終わりのダリウスとの別れで再びときめいたりした。「本当に…君がいなくなってしまうのは、さびしいよ」の噛みしめ方がすごい。言葉って噛みしめるものなんだな。運命という名の流れに翻弄されることを受け入れつつ、それでも伝えたいセリフ。このさびしんぼうめ。話が逸れました。
 
白軍服のビジュアルがよだれものの有馬隊長ルートですが、硬派で朴訥で堅物な大人が主人公ちゃんから目が離せなくなっていく展開ってほんとたまらん、この展開は世界遺産として保存してほしい。虎ですら花火大会で2人になり、距離が縮まるのに、有馬隊長ルートではダリウスが梓ちゃんをかっさらおうとしててびっくりした。自分だけでは距離を縮めるきっかけすらない有馬隊長。最高ですよね。

この硬派奥手すぎて単体では話がミジンコほどしか進まない気配のためか、同じ日を50回もループするというトンデモ展開が繰り広げられ、2人の距離が強制的に近づいていく。この間に秋兵だったら手を握ったりベッドに押し倒したりしていたのに、有馬隊長の初さがスペシャルもどかしい。でもこの人絶対ムッツリだよ。最初はわかりやすく甘えると好感度が上がらないどころか下がることすらあるくせに、最後のほうはちょっと甘えただけで好感度がうなぎのぼりで、隊長のくせにチョロ助だなと思った。
 
ともあれ、有馬の「戦友殿」という呼び方がとても好きで、帝都を守るために背中を預けて戦える梓だからこそ、有馬は梓を守りたいと思ったし、好きになったんだなと感じた。薬指にキスをするあたりから、突如訪れた甘さの洪水に押し流されたのは、さすがはネオロマのメインビジュアルを張る男。正統派ヒーローな展開に圧倒されたし、梓を助けるためにぶった演説には、少女漫画を地で行く王道ときめきを与えていただいた。最後の最後まで方向違いの気遣いを見せるあたりも有馬隊長らしくてとてもいいし、梓ちゃんが帰ろうとして初めてドカンと本音爆発しちゃうギリギリっぷりもいい。このふたりは秋兵あたりが暗躍しないと結婚しなさそうだな。
 

●ノーマル、大団円、コンプ後感想
大団円という名のハーレムルートが用意されているとは露ほども想像しておらんかった。まさかのギャルソンコスプレ。大団円というよりは、おまけのごほうびEDという感じで、半ばFDのような気分で眺められる終わり方だった。梓ちゃんの大正袴イラストも欲しかったのでめいこいの芽衣ちゃん早くこっちに来てください。
 
私は、乙女ゲーというものは「ストーリーのネタバレをしないように攻略順を考えて楽しむ」ものだと思っていた。だけど遥か6は、ひとつのルート内のエピソードはちゃんとルート内で回収しきり、どのルートから遊んでも問題ないようにきちんと設計されていて、乙女ゲーは「攻略したい人から攻略してストーリーを楽しむ」ものなのだと教えてくれたように思う。

SEや背景も、物語に入り込んで楽しむことを邪魔しない作りで、テキストもスチルも美しく、長く愛されてきたシリーズにはそれだけの理由がちゃんとあるんだなと思い知らされた。他の乙女ゲーはきちんと作られていないということではなくて、ひたすらに丁寧に作ってあるというか、細かいところまで設計されたゲームだ、ゲームを遊んでいる、という気持ちにさせてくれた。
 
遥か6を新品で購入して、ちゃんとコーエーテクモにお金を落としてよかったと思うし、もうちょっと何かお金を落とせるものはないかなという気持ちにさせてもらえた。とりあえず設定資料集と、これから出るであろうBGM関連のCDかな。とか言ってたらアンジェリーク・ルトゥールの記念BOXが3万円とか情報が出てきて鼻水が出た。オスカー様の顔がさあ…ねえ…あのさあ…。