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立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

CLOCK ZERO~終焉の一秒~Extime・トラルート感想

CLOCK ZERO~終焉の一秒~Extime 乙女ゲーム感想

虎之助

「続きから」を押すと流れるボイスに、鬼畜虎パパが入っていて、思わず正座をした。それぐらいパパが出てくると「ヒッ」となるルートだった。下手なホラーゲームより恐怖を煽ってくるCLOCK ZEROさんの本気。

別名・お嬢様が不良に悪い遊びを教わるルートで、一緒に深夜の学校に忍び込むシーンなんて、いけないことしてる感がハンパじゃなかった。悪い遊びはこうやって覚えていくんですよ、全国のお嬢様がた、わかりましたか?

 

トラが撫子に懐いていく様子が、動物の子どもが母親を探すような仕草に見えて仕方なかったけど、トラの育ちを追っていくとあながち間違いじゃないのかもしれない。

贔屓目に見てネグレクト、有り体に言えば身体的虐待を受けて育ったことは明らかで、奥さん以外はアウトオブ眼中な芳宗さんの開き直りっぷりがいっそ爽快だった。このへん央ルートでもしっかり描かれているけど、このクソ親父に育てられながら、トラはよく筋を通す子どもに育ったなあ。

 

そんな傷だらけのトラにほだされたか「この人のことを知りたい」と思っていく撫子ちゃんはけなげであった。素直な愛情を向けられると無碍にできないのは、やはりトラの心根がまっすぐだからなのだと思う。ダメ親父の言うとおり、優しくするほうが残酷なこともあるけれど、相手なしじゃ生きていけなくなったほうの負けなのだ。

部屋を出ようとする撫子をトラが「ここにいろよ」と引き止めるシーンにスチルがなかったので、血の涙を流しながら脳内補完した。妄想力なら任せてください。

妄想力といえば、理一郎の疑いを晴らしてやるトラはいいやつだが、自分の部屋に帰ってきたらトラと撫子が寝ているというシーンに遭遇する理一郎を想像するとお腹が痛い。もちろん笑いすぎて痛い。どのルートでも理一郎の影が薄すぎて、理一郎って本当に友達がいないんだなと思い知らされた。鷹斗さん、わかりづらいことしてないでちゃんと友達になってあげてください。

 

途中で出てくる二択が、他ルートだと「好き」と「大切」だったりして、きらめく清純さに胸を打たれたりしていたのだが、トラの場合「好き」と「欲しい」の二 択で血を吐いた。○ボタンを連打しすぎて痙攣を起こすところだった。この二択とは一体。選択肢とは一体。プレイ時に書いているメモに「CERO仕事しろ」って書きなぐりまくっていて少し落ち着こう自分。CEROさんはちゃんと仕事しよう。レートは綱渡りするものじゃないぜ。でもトラに「私のものになれ」と宣言する撫子ちゃんは男前で好きです。

 

事態の解決してなさに死にたくなるので、やはりトラルートでも現代帰還EDを推したい。もちろん帰還EDでも、加賀先生を殺したトラは一体どこにいったのかという疑問は残ったままなんだけど、戻った世界でトラに会えた、と思った瞬間に絶望に叩き落とされる撫子ちゃんがたまらない。

どのルートの帰還EDでも、 キャラクターたちはそれぞれのやり方で撫子を救い、撫子はそのことを忘れてしまう、という本流は変わらない。でもトラルートの場合、あの世界のトラと再会できるのに、再会の瞬間が別れの瞬間でもあり、トラが自分のためだけに罪を犯してしまったのだと知る瞬間でもある。そして撫子はそのことを覚えていられない。これは切ない。

 

この暴力的なまでに単純明快な答えを選ぶところがトラらしいなと思うし、ああいう未来の可能性がある以上、撫子が幸せに生きるなら鷹斗が消える、という終わり方はとても自然だなと思った。何もかも手に入れて元通り、なんて都合の良さよりも、きちんと理不尽であるほうがいい。

ただひとつだけ、残留EDでのトラの「好きだ」の言い方がもう許せないレベルでひどかった。親に愛されなかったトラが撫子に心を開いて、なくしたくなくてすがるように、初めて心情を吐露するシーンなのに、綿毛より軽い言い方で台無しにも程がある。他のシーンには文句のつけようのない演技だっただけに、このただ一言だけが心の底から残念に感じた。もったいなかった。

 

まあそんなことより、キングの元に撫子の髪を運んできたかた、激高したキングにその場でブチ殺されてたりしませんか? 大丈夫ですか? その時キングに「人質が傷ついても致し方ないのでは」みたいなことを言ってた人の安否も気になります。無事に息をしておられるでしょうか。心配です。