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立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

剣が君 for V・左京ルート感想

左京

不器用侍その2。妄想癖あるし、基本的に人の話を聞いてないし、前半も終わろうかというあたりで「フン。茶屋の娘が気楽なものだ」とかケンカ売ってくるし、このやろう香夜にがんじがらめになって身動き取れなくしてやると思っていたら、割とすぐにそんな感じになったので楽しかった。血まみれスマイル立ち絵のトチ狂った感じが非常によろしい。

 

普通に接していたらいつまでも香夜ちゃんのことなんて見向きもしない、というか他の人間に関心が一切向かないだろうから、無理矢理同居させてしまうストーリー展開は、左京さん相手に話を進めるには一番自然だろうなと思った。ここから一気に香夜ちゃんに転がり落ちていくさまは痛快というより他にない。殺人サイボーグ左京さん(瞳ハイライトなし)が徐々に命を取り戻していく物語。

 

香夜ちゃんにお金を渡し、その行為に自己嫌悪しつつ、黙って出て行く時にやっぱりお金を置いていくシーンが印象的だった。

最初にお金を渡そうとした時は、「これだけ渡せばいいだろう」という見下しがはっきり伝わるけれど、出て行く時には「香夜に感謝しているし、巻き込みたくないくらい大切に感じているのに、お金を置いていくことしかできない」左京さんの不器用具合が伝わってきて切ない。

 

【君ルート】

護衛メンバー全員集合で左京さんの仇討ちを手助けするところが痛快・爽快!な展開で、自分も薙刀を持って駆けつけた香夜ちゃんが檄アツだった。しびれる。香夜ちゃんの微妙な態度をしっかり見抜いた螢もしびれる。螢の「よし、行くぞ!」が兄貴分さマックスでたまらん。ア~ニキ~!(by かむろ)

 

これまでひとりきりで戦ってきた左京さんが、こうしてみんなの助けを得て本懐を果たす。後日談も含めてしっかりごちそうさまな感じで、これぞ「君ルート」だな、と言うべきルートだった。

山城の国で大名の奥方になる和魂エンドは、香夜と護衛メンバーがもう一度花嫁行列をする展開がもう本当に、ここまで綺麗にまとめるかと言わんばかりのオチ具合で、左京さんなんぞいくらでも待たせてめちゃめちゃゆっくり旅をしてほしい気持ちでいっぱいだった。わざと旅程を引き伸ばしまくる縁や、わざとじゃなく旅程を引き伸ばしまくる九十九丸・鈴懸にブチ切れる左京さんが見たい。

 

予想通り、寺子屋開設と相成った幸魂エンドは、お前らコミュ障かよと言いたくなるぐらいの妄想が暴走っぷりを披露していた後日談が印象的だった。こちらもめでたしめでたしなハッピーエンド。ここまで螢・実影・左京ときて、君ルートでどちらもしっかり文句なしのハッピーエンドを迎えたのは初めてだったように感じた。

 

【剣ルート】

ハッピーエンドと好きなエンドは別だし、ゲームやルートの真髄もまたハッピーエンドにあるとは限らない。左京さんの剣ルートは、どちらも左京さんが死んでしまう展開でありながら、どちらも鷺原左京というキャラクターの真髄に近い所にあるというか、とても納得できるもので、バッドエンドであるとは感じなかった。生に執着しないキャラが、意に反して生き残って苦悩する展開も好きだけど、これ以上生きて苦しまなくていいんだなと思うと安心してしまうところもある。

 

荒魂エンドは、三途の川を渡る左京さんが「針が刺すように冷たい」とか言い出した時点でゾクッとした。ああ、やっぱりそう来るか、というか、この現実感は容赦ない。

自分自身が許されるとは本人も思っていなかっただろうけど、何の罪もない香夜を死なせてしまっただけでなく、巻き込んで未来永劫苦しませることになり、それに喜びを見出している姿が退廃的でたまらなく良かった。

 

この展開は歪んでいるように見えるけれど、ちっとも歪んでなんていない。大切な人がずっと自分のそばにいて離れていくことがない安堵感と喜び。ふたりは転生もできないから、文字通りずっとずっと一緒にいるほかないわけで、背筋にひたっと張り付いてくるような印象的な結末だったし、保志さんはこういうキャラを演じるのが上手いなあと思う。

 

反対に奇魂エンドでは香夜だけが残される。後日談も含めてきれいに完結していて、湖で抱き合ったまま左京さんだけが消えるシーンは号泣した。

荒魂エンドが頭にあるから、左京さんは一人で苦しまなければならないんだなと思うけれど、それでも復讐に身を焦がしていた時よりはきっと安らかにいられるんだろうと、どこかほっとした気持ちにもなる。矢ノ彦はいつか独楽回しがめちゃ上手いイイ男になって、香夜ちゃんを守ってあげてほしい。