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立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

スタミュ第10幕~12幕(最終話)感想

スタミュが終わってしまった…!
最初は正直ネタ的に見始めたスタミュ、蓋を開ければ今期いちばん好きなアニメだった。最終話はリアルタイムで見てしまった。

ABパート間に、近日リリースされるCDのCMが挟まれるんだけど、ここについに「星瞬COUNTDOWN」が登場した時、不思議な気分だった。エンディングとして第1幕から使われていたこの曲がすごく好きで、発売をずっと待っていたはずなのに、毎週の劇中歌リリースがこれで終わってしまうんだ、スタミュが終わるんだと実感してしまって、嬉しいのに喜びたくなかった。

 

「絶対負けるな」

言いにくいことを言うために、かつての月皇兄と同じようにオレンジジュースを差し入れたけれど、結局言えず「絶対負けるな」とだけ告げて5人の前から姿を消す鳳先輩。何物にも縛られず自由で、いつだって自信に満ちていた鳳先輩が初めて見せた人間臭い弱さに胸を打たれる。「あいつらにはオレンジジュースの味を好きでいてほしい」と語る鳳先輩の眼差しの優しさが、決断を下した柊の痛みも分かっているんだよと暗に告げていて、もう本当にこのこじれホモどもは(憤怒)

 

今までネタっぽく「ボーイズてw」と思っていたけど、ここに来て「ボーイズ」のフレーズが恋しくてたまらなかった。鳳先輩の声で「ボーイズ? そんな顔、チーム鳳らしくないね」って言ってほしい。5人でチーム鳳なんだよ。「ひとりじゃない、ひとつになれ」って歌ってたじゃないか(この歌詞もすごくよくて、バラバラだったチーム鳳がひとつになった前向きな光に溢れている。「弱点もプロフィール 笑って」なんて、シンプルだけど、ドラマにぴったり合ったいい歌詞だなと思う)。

 

「楽しんでゆけ ボーイズ!」

いつも持ち前の脳天気さと真っ直ぐさでチームを引っ張ってきた星谷が、鳳先輩を失って戸惑う様子が、悲しくて痛ましくてやりきれない第10幕・第11幕は、このアニメは星谷が主役なんだと見せつけてくれる素敵な回だった。

第10幕の終わり、チームのメンバーが鳳先輩の話題を出さないようにしていたのは、他の誰でもない自分を気遣ってのことだったのだと星谷はようやく気づく。他人から支えられていることは目には見えない、見えないからこそ胸に迫る。

 

物語が始まった当初「チームがバラバラだ」と感じていたのは星谷以外の4人の方で、それを星谷がひとつにまとめた。第10幕まで来て、自主練メンバーが一人ずつ減っていき、今度は逆に星谷が「チームがバラバラになりそうだ」と感じている。そうでないと告げたのは4人の方だった。1幕から続いてきたドラマがここで輝くというか、見ていてスカッとするというか、再び集まった5人が歌い出す「星屑ムーブメント」の歌詞が「歌舞いてる」!(by 天花寺)

「楽しんでゆけ ボーイズ!」どこかで声がする
まぶしすぎて見えない だけど怖くはない

この曲を引っ張りだす「今から自主練だ!」を、あの天花寺が言うのがまた、いいよなあ。あけすけに「俺達はチームだ」なんて野暮助なことは言わないのだ。
言いたいことは歌に乗せる。ミュージカルアニメだから、というのもあるけれど、スタミュは「大事なことを口に出さないさじ加減」がいいアニメだなと思う。何も言わずに鳳先輩のメールアドレスを星谷に渡す辰己も最高だ。

 

「あこがれが勇気の地図を描き 未来へ導いてくれる」

そして第11幕、4人への飲み物として、鳳先輩と同じようにオレンジジュースを選ぶ星谷。目指すべき圧倒的な目標として存在しつつ、星谷を後押しする役目はちゃんと鳳に譲る月皇兄。

ここで兄と穏やかに言葉を交わす月皇もいい。角が取れて、大事なものがきちんと見えている感じ。兄のことを言われて面接を途中で飛び出して名前に赤線引かれた頃を思うと涙が出る。

星谷と鳳先輩が2人で歌うのが、星谷が第1幕で歌った「星のストライド」なのがまた、よかった。第1幕で聞いた時は、唐突な歌い出し衝撃も相まって曲の印象があまりなかったんだけど、歌詞をきちんと読むと、この曲を2人で歌う意味が沁みてくる。

星谷を綾薙学園に導いたのは鳳先輩であり、その星谷が持つ輝きに気づいたのも鳳先輩だった。下地がない分伸びる楽しさがあり、ぐんぐん成長した星谷は、やがて鳳先輩の手を離す。

「俺を切り捨てるんだな」と訊いた時、静かに頷いた星谷の表情が良かった。1幕からひたすらに前向きに、ただ走ってきた星谷が、初めて何かを失うこと、失ってでも手に入れたいものがあることを知る。スタミュは成長の物語だ。第10幕・11幕を通してきっちり描かれた星谷の成長に、スタミュの主役はやっぱり彼なんだと思い知らされたし、1幕のあどけない星谷を思い出すと、なんだか胸がいっぱいになってしまう。

 

「役者は、泣きたい時には、笑うものだよ」

たった1幕分の「ボーイズ」不足で、こんなにも恋しくなる声があっただろうか。何年も会えなかったようにすら感じる鳳先輩が、こんなことを微笑みながら言うから、たまらない気持ちになる。鳳先輩も、泣きたい時に笑って生きてきたんだろうか。それでも舞台に立ちたくて、今まで笑ってきたんだろうか。

宿舎に戻った星谷を何も言わずに出迎える4人と、そこでちゃんと泣けた星谷に、見ている私も雑巾みたいに泣いた。

 

幕があがる

いつもふわふわと優しく見える那雪の、人間臭いところもしっかり見せてくれて、かつ鳳先輩の一世一代の名台詞を星谷に言わせてくれて、大団円の最終幕。暁から目を逸らさず、一歩も引かない星谷も良かった。
もっと尺があれば、もっとじっくり個々のキャラを掘り下げてほしかったなとも思うけど、逆に言うと12話でよくここまでスッキリ終わらせてくれたなと感動するし、チーム鳳のステージはまるで舞台の前で見ているかのようにワクワクした。

ちなみに、「星瞬COUNTDOWN」の中にある「強がりさえプライドになる」という歌詞がどういう意味なのか、ずっとわからないまま見ていたんだけど、第11幕の鳳先輩のセリフを聞いて納得した。
強がって笑えなくては舞台には立てないけれど、それは舞台人としての誇りなのだ。星谷たちが雨の中奔走し、たくさんの人に頭を下げ、暁の脅しにも屈しないのは、すべて舞台に立つため。そして幕が上がれば最高の舞台を見せる。5人は間違いなく鳳先輩の教え子なんだと思った。

 

「ようこそ輝きへ!」

そして、先輩チームのように一緒に年越しさせることもできるのに、寮から出て全員バラバラの方向に歩かせたのが本当にスゴイというか、チーム鳳は小さな星屑の集まりで、一人ひとりは大きさも色もバラバラで、これからもっと輝きを増すし、だからこそ5人が集まった時に最高のステージを見せられるのだとガッチリ伝わってきた。


エンディングが、5人の名義で初めて歌った「☆☆永遠★STAGE☆☆」なのも卑怯だ。しっかり掴んでしっかり泣かせて、最後は未来への希望をしっかり広げて見せて、こんなキラキラした気持ちにさせてもらっていいんだろうか。

「☆☆永遠★STAGE☆☆」の歌詞も、最終話を見終えた後にじっくり聴くと味わい深いなと思う。大サビが星谷ソロで、しかもソロパートを「アコガレをアンコール 全身全霊」なんて粋な文章で締めるのもいい。どの曲も歌詞が伝えたいことをきれいに伝えていて、このアニメはミュージカルアニメなんだなと思い知る(「少しはまだマシになっただろう」って歌詞を天花寺が歌うのがいつもジワジワ来る。このツンデレ野暮助め…)。


スタミュ、最初は面白半分で見ていて「野暮助ww」とか言っていてごめんなさい。本当に素晴らしいアニメだった。キラキラした気持ちを思い出させてもらえた。2期があるかな。あったらいいなあ。