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立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

「あやかしごはん~おおもりっ!~」と、ネタバレ回避を気にせず遊ぶということ

もう1月も後半にさしかかろうとしていますが、周回遅れであけましておめでとうございます。
この年末年始は「あやかしごはん~おおもりっ!~」をプレイしながら、「物語のネタバレを回避せずにプレイする楽しさ」について考えていた。
今から書くのは、シュタゲみたいに、ネタバレを見てしまうと物語の楽しさが99%ぐらい失われてしまうゲームではなくて、一般的な乙女ゲームの話。「あやかしごはん」のネタバレをバリバリ書いてますのでご注意ください。

 

知った上で遊ぶ、ということ

ゲームのタイトルを検索すると、大抵「ネタバレ」「感想」「攻略順」なんかがサジェストされるように、割と「ネタバレを回避するために攻略順を間違えたくない」という人は多いように見える。
確かに、キャラの正体や隠されていた設定にあっと驚き、「そうだったのか!」と今までのすべてが腑に落ちる感覚は、ゲームを遊ぶ快感に直結するし、大切にしたい部分だ。

けれど、きちんと作られたシナリオには「知っているからこそグッとくる」という部分が多分に散りばめてあって、そこに気づいた時の切なさ、ちくりと胸を刺すような痛みも、同じくらい魅力的だと感じることがよくある。

 

http://www.honeybee-cd.com/ayakashi_vita/img/movie/vita.jpg

「あやかしごはん~おおもりっ!~」

「あやかしごはん~おおもりっ!~」では、時間はループしていてこの世界に春は来ないこと、吟さんと浅葱と神様は世界のループを知っているらしいこと、このあたりが浅葱以外のルートで明らかになる。そして、実は凛以外はみんな死んでいるという事実が、詠のベストエンドで明かされる。

詠に攻略制限はないので、制作側は「凛以外はみんな死んでいる」ことを知った上でプレイしてもよいと考えているんじゃないか。逆に、浅葱が何者で、何のために時間をループさせていたのかは、攻略制限のかかった浅葱ルートでないと明かされないので、このあたりは浅葱ルートを楽しむためには知っていてほしくないこと、という位置づけなんじゃないか。

この「実はみんな死んでいる」ことを踏まえると、小さなシーンのひとつひとつがより重さを増す。
「あやかしごはん」は元々、日々のごはんを一緒に食べるようなささやかな日常が、どれほど大切で得難いものかを優しく柔らかく描き出しているので、この切なさがより増していくように感じる。

たとえば謡と詠はそれぞれ、ニンゲンである凛とあやかしである自分は生きる長さが全く違うことに苦悩した末に、「たとえ短くても共にいられる時間を大切にしたい」と答えを見出す。

これ自体とても素敵で、クールに見せかけて瞬間湯沸し器な詠が「お前がいなくなるほうが嫌に決まってるだろ! 言わなきゃわかんないのかよ!!」と絶叫したり「ニンゲンになりたい」と号泣するシーンは体内の水分が全部出たかと思ったぐらい泣いた。言わなきゃわかんないけど「言わなきゃわかんないのかよ!!」って詠に言われたい。話が逸れました。

2人はそうやって、たとえ刹那の瞬間であろうとも凛ちゃんと共に生きようと心に決めるのだけど、そもそも2人とも死んでいるのだと知った上で話を追うと、もう切なくて切なくてならない。台所でモゴモゴごはんを食べる謡(クソかわいい)と仲直りしたり、夜中に起きてきた詠とこっそり初日の出を見に行ったり、そういう「生きてさえいればまた必ずめぐってくるはずの時間」が、この2人にはもう二度と訪れないのだとわかっていると、謡と凛が言い合いしているだけで泣きそうになる。

真夏なんて、千年の時を超えてようやく結ばれたというのに、実はもう自分は死んでいたなんて、びっくりぽんどころの騒ぎではない。(ちなみに、ちょっとは報われてほしい…と心底同情していたけど、後日談で冒頭から押し倒しまくりのダメな大人だったので、プレイしながら親指が攣りそうだった)

 

好きなように遊ぶのもいいかもよ

浅葱ルートですべてを知ると、他の5人のエンディングが変化するのは、制作側の真意としては「最初は何も知らずに遊んで、すべてを知った後にもう一度最初から味わってくれ」ということなのかもしれない。
もちろん、2回プレイすることで「知る驚き」と「知っているからこその噛み締め」を両立できるのは間違いないのだけど、積みゲーの山を崩さないように生きている時、ネタバレなんて気にせずに、好きそうなキャラからどんどんプレイしていくのもアリなのではないかなあと思う。

だって、せっかくまっさらな状態で物語を堪能できるのに、一番気になるキャラと一緒に味わわないのはもったいない気がする。心の赴くままに遊んでみるのもいいんじゃないかな、たまには。