立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

スタミュ2期感想&スタミュミュがすごくよかった話

スタミュアニメ3期、ミュージカル続編決定おめでとうございます。いや、ほんとに。本当におめでとうございます。

ものすごく今更ですが、スタミュ2期を見終わって最高に感動したので、その話です。

 

「DREAMER」から「SHOW MUST GO ON」へ

1期では「DREAMER」だったOPタイトルが「SHOW MUST GO ON」に。ただ純粋な夢と憧れだけで進んできた1期から、その先へ進むための2期。もがきながら悩みながら、それでも演技者であるなら、幕が上がれば最後まで走りきらなければならない。そんな「厳しさ」、だからこそたどり着けるステージの輝きを丁寧に描いてくれた2期だったなあと思う。

 

役者に必要な欲、その泥臭い感情をある意味1期から一番見せていた天花寺が、星谷の背中を押すシーンが本当に良かった。

学校での姿からは想像もできないような大人びた姿、小さな子どもに語りかける姿勢は、天花寺が幼い頃からどれだけ厳しい世界で生きてきたのか雄弁に語ってくれる。天花寺が年相応でいられる場所、ずっと欲しかった同い年の大切な仲間がteam鳳だったんだなあ。「ずっと遊んでいたいがな」という台詞が沁みる。

ずっと遊んではいられない。どんな楽しいショーもいつか終わるように、学校生活という束の間の休息を終えたら、天花寺はまた厳しい芸の世界に帰っていかなくてはいけない。天花寺の舞台を見た卯川と空閑は、自分たちにも同じ選択が遠からず訪れるのだと気づいている。純粋に舞台を楽しんでいる星谷たちとの表情の違いが丁寧だなあと思う。

その天花寺が「おれがそのチャンスをくれてやる」と星谷に語るの、1期からよくぞここまで懐いて、成長したなと思うと涙が出る。「お前には花がある」って、最大級の褒め言葉ですよ。チャンスがあれば星谷は必ずそれをものにすると信じていなければ、あんな台詞は言えない。

「役者なら虚勢を張ってでも強くなりやがれ」というのも、1期の鳳先輩が言った「役者は、悲しい時に笑うものだよ」を思い出して泣いた。虚勢を張って、強がって、そして本当に強くなってきたんだな、天花寺。最高にかっこいい役者だよ、歌舞いてるよ!!

 

辰己の冷静さと熱さ

奈落落ちで怪我をした星谷を、皆がなんとかして舞台に上げようとする中(卯川の「僕、戌峰くんに通訳してくる!」が後からジワジワ来る名セリフ)、カンパニーをまとめる魚住先輩は別として、役者陣の中でただひとり降板を勧める辰己の表情の変化がとてもいい。いいので、みなさん12幕は50回くらい見てほしい。

なぜかというと、辰己は1期でも鳳先輩と星谷たちを繋げた立役者でもあるし、星谷がどれだけ鳳先輩と共演したがっていたかは当然知っている。その上で『この先』のことを考えて諌めている。ここでも描かれる、今この時間は、無限に広がる未来のための終わりあるひとときであるということ。(自己主張に慣れない那雪が「星谷くんはこれまで頑張ってきたから」と、ある意味甘い主張をするのも、辰己とくらべて、かつ今までの那雪を思うと、すごく味わい深いと思う)

それでも、1期ではただ憧れるだけだった鳳先輩が「今のお前とやりたい」と口に出す。鳳先輩だって星谷の役者人生を考えれば、どうすべきかなんてわかっている。それでも「今、やりたい」、それは限りある時間の中でしか持ち得ない願いであり、役者としての欲であり、1期からずっと飄々と立ち振る舞ってきた鳳先輩から、そういう子どものような、年相応の願いを引き出したのは星谷なのだと思うとたまらない気持ちになる。

 

そうして星谷が舞台に立つと決めた後、ふっと微笑む辰己の表情が本当によくて、覚えていない方はまじでここ100回見てください。見ないと有罪。

辰己も、そういう後先考えない無茶とか我儘な願いとか、心当たりがあるんですよ。だから星谷や鳳先輩の気持ちが痛いほどわかる。けれどそこを抑えて、あえて誰も口にしなかった制止の言葉をかける。ただ、星谷が腹をくくったならば、もうそれ以上は何も言わない。他人が何を言っても、舞台に立つと決めた役者を止めることはできないと、自分が一番わかっているからです。辰己ィ(号泣)うっかり申渡になりそう。

 

そして舞台は続く

1期ではそこまで描かれなかった、舞台を支えるスタッフの存在が、2期ではかなりしっかり描かれましたね。そこもすごくよかった。星谷を心配して楽屋に行こうとする空閑を「ちげえだろ、愁」と止める虎石が最高にかっこよくてウワーーッってなる。スタッフとして役目を全うしているキャスト陣、みんなすごくいいよね…。

12話のカーテンコールも、鳳先輩と星谷が上手と下手に分かれてステージを去るところも含め「そう終わるか~!!!」という感じで、なんだか12話かけて、ひとつのミュージカルを見せてもらったような気持ちになった。そりゃそうだ、だって「青春ミュージカルアニメ」だもの。誰がひとり欠けても、どの物語が存在しなくても、たぶんだめだったのだ。華桜会のみなさんが肉とか野菜とか炊飯器とか抱えて歌いながら登場した時、ほんと死ぬほど笑った。大好き。

アンコール放送の最後に流れた、2期版の「永遠★STAGE」も良かったですね。1期版ではひとり遅れ気味だった星谷くんが、きちんと遅れずに踊れているどころか、センターの存在感が増していて、ちゃんと2期のteam鳳だった。

 

スタミュ」は、学生ならではの熱さと、未来が無限に広がる若さと青さで、夢に向かってまっすぐに進んでいくキャラクターたちが眩しい。天才は天才なりに、凡人は凡人なりに、それぞれ悩んでぶつかって、傷つきながら前を向いて成長していく姿が愛おしい。

とにかく1期をしっかり踏まえた2期で、無駄なキャラクターがひとりもいないというか、よくここまでの物語を綺麗に12話でまとめられるなあとびっくりする。監督はもちろんだけど、構成さんがすごいのかな?

こんなに、ひとりひとりを好きになるアニメもなかなかないですよ。いつか彼らは卒業してしまうと知っていても、もっと彼らの物語を見たいなと思ってしまう。だからアニメ3期が本当に嬉しいです。ありがとうございます。

 

スタミュミュもすごくよかった

感想を書こう書こうと思って書いていなかったんだけど、ミュージカル・スタミュも本当によかったです。原作アニメへの愛情が舞台から客席に流れ込んでくるような、キラキラ眩い、笑いと涙がぎゅっと詰まった最高の舞台だった。

とにかく鳳先輩の存在感が凄まじいし、舞台セットを上手に使った転換がすごく面白いし、スタミュが好きなら見て損はないどころか、もっともっとスタミュが好きになると思う。ランズ兄やんの説得力がとんでもないよ。喋った瞬間「うわー、本物~!!!」ってなった。team柊のオーラもすごかったし辰己と申渡のつきあってる度がいい加減凄かったので見てください。続編もあるとのことで本当に楽しみです。チケット取りたい。