立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

「アンナチュラル」今更一気見して興奮して二周した

「アンナチュラル」、ほぼ一気に二周しました。勧めてくれてた友人の「一話だけでいいから見てみよ」で一話見たら最後、完走するまでは早かったです…。なんでリアタイしてなかったのクソなの? でも中堂さんにクソって言われたい。ハイ。というわけで一話ごとに感想雑記を残しておきます。サブタイのダブルミーニングについてもいろいろ考えました。

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第一話「名前のない毒」

・大衆の無自覚な攻撃、優しさ、正しいと信じた教育、全部全部毒になりうるのだと、第一話から容赦なく抉ってくる。自分が毒を撒き散らしていない自信なんてまるでないからつらい…。

・手渡したアンパンを、一口だけ齧る馬場さんに対して、ミコトはパクッとまるごと食べるのがすごく好き。食べることは生きることです。

・最後、院長は罪を認めて会見するけれど、馬場さんの表情も仕草もなんにも変わりないのが印象的で、結局高野島さんを総攻撃した大衆はこの事件をすぐに忘れるし、高野島さんは戻ってくることはないし、馬場さんは生きていくしかないんだなと思った。死を見据えることで生きることを描くドラマなんだな、と一話からしっかり伝わってきますね

・木林さんの名前って、チェスタートンの「木は森に隠せ、死体は戦場に隠せ」的な名付けなのかな?

・久部くん、第一話では東海林の斜向いくらいの、ミコトから遠い位置に座ってるんだな~。どこに座ってもいい、って演出側から指示があったそうだし、話数を重ねるにつれ全員近い位置に座るようになるのがいい

・第一話から既に伏線がドカドカ挟まっているのに気づいて声が出る(2周め)

 

第二話「死にたがりの手紙」

ダンボールをミコトにかぶせたり、手を必死にあっためたり、投げ出されたミコトを抱きとめたり肩に捕まらせたりする久部くん is 最高。温泉に誘われて動揺しまくりなの最高。「信じらんないですよね」って愚痴言いつつ嬉しそうなの最高。面白そうに話を聞く東海林もよい。

・な、な、中堂さ~~~~ん!!! 机の書類バサーーー!! で\フゥ~~~~!!!/ってなった 中堂さん 僕らの中堂さん

・中堂さんが解剖台で横になっているのを見るだけで泣く(2周め)

・ミケちゃんが白夜に憧れたのは、生きていた場所が、明けない夜のようにずっとずっと真っ暗だったから、だよね…。最後に生き別れの母親が懺悔しながら出てくる、なんてご都合展開なく、最後まで容赦がないのがとても好きだと思った。ここが夜しかない世界でも、世界のどこかには日の沈まない世界があると信じることで、ミケちゃんは生きていられたんだな

・刑事コンビの「い?」「え?」「い?」「え?」「いえ?」「家!!」とか、中堂さんと所長の「あれ、三澄先生どこ?」「水の中」「そっか、水の中………え?」とか、やりとりのテンポがよすぎて大ピンチなのに笑ってしまう

・「絶望」って繰り返し出てくるの、キルケゴールの「死に至る病」の示唆だって気づいてアッとなった

・「人間は意外としぶとい」が心にずっしり残る。絶望したって、練炭を炊いたって、死にたいと自殺サイトに集ったって、人は簡単には死ねないのだとも突きつけられる。死にたがったミケちゃんが残した2つの手紙は、絶望しながらも生きたいと叫んでいる手紙と、花ちゃんを生かすための手紙。どちらも全然死にたがっていない、ただ生きたいだけのメッセージなのが苦しい。

 

第三話「予定外の証人」

・予定外の証人はミコトであり中堂さんであり、予定外の証拠は凶器ではなくホルマリン液だったり

・烏田さんハラ立つわぁ……でもこの腸煮えくりたつような裁判シーンすら、最終話で「ワ~ッ」てなるための伏線だとわかるともう野木さん天才かよ

・気の弱さで虐げられてきた夫の人が、気の弱さで人を虐げる構図、えもいわれぬものがありましたね…。結局ミコトがギャフンと言わせる爽快な終わり方じゃないのもよかった。だって現実はそうじゃないもんね。東海林だと動かない研究所の上の人も、神倉さんが出たら動く、そんな日常の中で取りうる最善の行動をとり、「負けて勝つ」を選ぶ女たち

・裁判中の中堂さん態度が悪いしカッコいいし、「まあまあ、そう感情的になるな」でウワァァァ~~~性格悪い!好き!アハハ!! カッコいい!!! 喪服で来てるのもとてもよいですね…。

 

第四話「誰がために働く」

・2周めもグズグズに泣いた。「Lemon」をそこで入れてくるのズルくない? こんなん泣かずに見られるのか? 所長がラインを止めるのは正直フィクションだからできることだよなと思ったけど、従業員も参加してマンホールを探すのは胸が熱くなった

・あきちゃん事件(別名:久部くんと東海林が可愛すぎてどうにかなりそう事件)

・サブタイの問いかけは、亡くなった佐野さんだけでなく、工場長やミコト、久部くんへの問いかけでもあるのか…。久部くんの「今二箇所でバイトしてるから」が悲しい

・佑くんが一人でミコトに会いに来たとき「お母さんは来られなくて」じゃなくて「母は来られなくて」ときちんと喋るのが、ああ~家計が苦しくても、教育をちゃんとしていたご両親だったんだな…と余計に切なくなってしまった。

・防犯カメラの映像を見るとき、工場長が佑くんの肩を押さえて背を向けさせていて、映像が出たときも久部くんが背中で画面を隠してるの、いいですね。死者の痕跡を辿るのは、残された者たちがこれから生きていくためなんだと伝わってくる

 

第五話「死の報復」

・中堂さんが笑った 中堂さんが笑った なかd

・文句言いつつ飲み散らかしを片付けて、ミコトのぶんもコーヒー入れてくれる中堂さん ソファで起きた久部くんに「大丈夫か」ってサラッと声を掛ける中堂さん(応援うちわ:協力を要請して!)

・「法医学者として、なにかできることがあれば」「今やってる」←見てて突っ伏す

・こうやって心の距離が近づいたかに見えた中堂さんとミコトを、最後にガツンと断絶させるの最高だよな…今回の死が犯人に報復できたのは法医学があったからなんだけど、それでまた新たな死、そしてその報復が生まれるところだったわけで。「犯人の子、助かった」って久部くんに言ったとき、久部くんが「鈴木さんが人なんか殺さなくてよかった」って返してくれたことでミコトはどれだけ救われただろう。

・ミコトにも中堂さんや鈴木くんの気持ちが理解できる、でもわかるからこそ、同意してはいけないんだよね。中堂さんは今なお、死の報復から逃れられていない。中堂さんに同意はしないけど一緒にやる、過去から動けないならとっとと引っ張り上げる、と宣言したのほんとに痺れた

・おめでとうございます事件(別名:久部くんまじ不憫だけどかわいいかよ、よかったね事件)

・ミコトの説得にも関わらず鈴木くんはまっすぐ犯人を刺し、犯人は鈴木くんに謝ることなく「わたしは悪くない」と言い募る。こうやって現実の容赦なさを克明に描くから、愛しさとつらさが増していきますね。

 

第六話「友達じゃない」

・「ミコトさん」←ウワアアアアアアア(床ローリング)

・なんだかんだ東海林のことも放っておけなくなってる中堂さん

・サブタイは否定と確認のダブルミーニングってことか~。わたしたちは友達じゃない、と最後まで否定するミコトと東海林、友達ではない神倉さんと中堂さん、「おれたちもう友達だろ」と確認しつつ、な宍戸と久部くん、がそれぞれ互いと一緒にお酒を飲んでる関係性の対比。エグみが強い

・結局宍戸は全部真相を知っててこんなことをしてるわけで、中堂さんが苦しむ顔を見たかっただけってこと??

・お兄さんは二人なのに名前は六郎なんだ…。名付けの適当さが、家庭からのはみ出し感を表していてつらいなあ…

 

第七話「殺人遊戯」

かりんとうダンボール二箱が切ない…。どら焼きも食べてもらえない所長

・サブタイ、ダブルどころか二重三重の意味が込められてましたね。ミコトの説得、ありふれた自殺の説得よりよっぽど力がある。傍観者の描き方含め、胸をざくざく刺されるような脚本でした。最後の「死んだ者は答えてくれない。許されるように生きろ」を中堂さんに言わせるの、本当に野木さん、野木さんあなたという人は…これリアタイしてた人の我慢強さすごくないですか? 一週間待たないと続きが見られないなんてちゃぶ台ひっくり返しそう

・窓ぶち破って突入する中堂さんの、手段の選ばなさ最高。話数を重ねるにつれ機動力の上がる中堂さん!! イイヨイイヨ!

・「俺達は三澄先生の仲間だ」\ああああああ~~/

・横山くんの背中にコートを羽織らせて、背中をそっと押さえる東海林に泣いた

 

第八話「遥かなる我が家」

・今回も二重三重に重ねられたサブタイ。近くて遠くて、帰れない我が家。生きている間も死んでからも、ひとは帰る場所を探し求めるのかもしれないですね。どこにも戻る場所がなかったとしても、生きていれば、そこが帰る場所になるのだとわたしは思っているので、三郎さんもミコトも久部くんも、最後には戻る場所を自分なりに見つけた描写に、とても救いがありました。一周目は、その久部くんの帰る家がこれから奪われる、それも自分のせいで、という事実が辛くて吐きそうだったわ…

・ご両親に説明始められたあたりから、水分なくなるかと思うくらい泣いた。

・おかえり、っていい言葉だよなあ…。やしきさん…。(嗚咽)泣き笑いのシーン、窪田くんがあまりにもいい役者さんで震えた

・ミコトがクソ発言した時の中堂さんの表情最高じゃないですか?

・生者と死者を容赦なく区切る久部父、生者と死者の違いは「たまたま」でしかないという神倉所長。勧善懲悪や、どちらかが悪い、みたいな描き方を絶対にしないのが本当に信頼できるドラマですね。「私達は私達の仕事を」というミコトの台詞が沁みる。

・「えっ、所長の趣味? 中堂さんの趣味?」「どっちかっていうと所長…」笑う

 

第九話「敵の姿」

・このダブルミーニングは辛い。辛いよ…。久部くん…。

・Lemon、ここで流すのかよ………ハァァ…

夕希子さんには理屈っぽいことを言って「理屈じゃないの」と笑われていた中堂さんが、理屈を並べて牽制するミコトに「理屈ではな。でも理屈じゃない」と何度も返すのが切なくて痛くてしんどい

・自然にダブルチェックしてる二人にウワァってなるし、ミコトの言葉じゃなく目で説得される中堂さんがとてもよい…井浦さんの演技に飲まれる

・まだお菓子がかりんとうなの笑う。

・三人のご飯シーン、久部くんよりミコトのほうがいつもがっつり食べてるのが好きです。

・高瀬が最後に埋めたアルファベットがAで、そのあと聴くのがワルツ変イ長調(Aマイナー)っての、美しすぎてゾクゾクしますね…

 

第十話「旅の終わり」

・法で犯罪者を裁くために仕事をしてきたのに、「犯罪者を裁くために」仕事で嘘をつけ、と言われるの、しんどいだろうな…。夏代ママの「生きてる限り、負けないわよ」が強くて優しくてじんわりくる。第四話で「戻ってこないから(お金を)もらうんです」と説得したのと同じ強さ。いつもそっと寄り添うようなアキちゃんも素敵ですね。

・久部くんの内通が明かされるシーンが、もうしんどくてしんどくて辛い。辛い…。取り乱してるのが東海林だけで、ミコトも中堂さんも動揺はしていないのも辛い。辛いよぅ…

・しょ、所長~~~!!! 所長! 所長~!!! \責任転嫁しないでいただきたい!!/

・回収! 回収に次ぐ回収! 伏線回収~~!!! って感じで、うおおおあああ~~~言葉にならねえ~~~~ エチレングリコールを投与されたらどうなるかまでちゃんと勉強してたんだね、久部くん… えらいぞ久部くん 久部くんに看破された後、ちょっと安心したように笑って注射器を手渡す中堂さん そういうところだよ、中堂さん、そういうところなんだよ(語彙がない)

・高瀬を裁くために生い立ちを調べたり、外務省にかけあったり、烏田さんも自分の仕事をしたんですよね。自分がミコトにした発言を、3話で中堂さんにやり返され、10話で神倉所長にやり返され、最後の最後でこうして見せ場を持ってくるのずるいなあ~

・絶望する暇なく(死ぬ暇なく)生きる 生きることってしんどくて辛くてクソみたいだけど、旅を終えるまでは旅を続ける、それが生きるってことなんだなあ。犯人を追う旅は終わっても、生きている限り旅は続くのだ

・確かにスナフキンは旅人だけど、坂本さんのムーミン好きを回収して、こうしてサブタイに綺麗に重ねるの、あまりにも組み立て方が天才で何を言っていいかわからん

・戻ってきた久部くんの顔つき、オドオドしてはいるけど最初と全然違って、この演技本当に凄まじいですね…。ドラマって別にシーン順に取っているわけじゃないのに、シーンを追うごとにちゃんとキャラの顔が変わっていくの、すごすぎてよく意味がわからないぞ

・毛利さんはまごうことなきイケメン

 

 

おもしろかった~~~~~ア~~あれだけ話題になっとったのわかるわ~~~という感じで、わたしたくさんオススメされると、かえって見たくなくなる面倒くさい人間なんですけど(ひねくれてるから)、これは本当にリアタイしてればよかったなって腹の底から思いました。続編あるのかなあ、あったらいいなあ。

 

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