立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

「恋のかけら」が名曲すぎる

MEZZO"の新曲「恋のかけら」が好きすぎて、自分でも気持ち悪くなるぐらいリピート再生しているので、今日は「恋のかけら」の魅力について語りたい。長いですよ。

どのくらいリピートしているかというと、最初のピアノ前奏でぼやけたMEZZO"の立ち姿が曲タイトルと一緒に映り(Mステ風)、転調後の大サビで花吹雪をバックに歌うMEZZO"を横パンでカメラが追う(Mステ風)という映像が脳内再生余裕であるくらいにはリピートしている。
歌い終わったら、壮ちゃんが頭を下げるのを見て環も慌てて頭を下げるのだろうし、壮ちゃんの髪の毛に紙吹雪が付いていて、環が「ついてる」って感じで取ってあげるに違いない。壮ちゃんはまだカメラが回っているのがわかっているから、頭をあげたらすぐちゃんとカメラ目線になっているはずだ。だから急に環が頭に触るとびっくり&ちょっと照れたような顔をするんだろう。環は得意気な顔で返す。もちろんカメラはそこまでしっかり映してからCMに入ってほしい。尊いにも限度があると思う*1

恋のかけら

恋のかけら

  • MEZZO
  • アニメ
  • ¥250

 かわいい以外に何をどう言えばいいのか

 

壮ちゃんと環が歌っている

唐突に何を言ってるんだと思われるだろうが、歌っているのは阿部敦さんとKENN氏ではなくて、逢坂壮五と四葉環なのである。

まじめにひとつひとつの音を踏んでいくような、お手本のような壮五の歌い方は「堅実」そのもので、冒頭の歌い出しから最後まで全くブレも崩れもない。歌う時も、軽く揺れたり手を少し動かしたりするくらいの静かな動作しか見せないんだろうなと思う。
逆に環は情感たっぷりに、「歌う」というより「歌い上げる」と表現するほうが正確だ。こちらに届いた瞬間に絡みついてくるような声音で、色も温度も鮮やか。壮五の静けさとは対照的である。

「Perfection Gimmick」あたりまでは、環の過剰なまでの情感演出歌唱がちょっとやりすぎ…と感じることもあったのだけど、「恋のかけら」を聴いた今では、わたしは環に対して理解が足りなかったんだなと実感せざるを得ない。環は環であるから、あの歌い方しかできないし、だからこそ壮五の声と綺麗に合わさるのだと思う。壮五のソロパートから始まり、環が掛け合い、サビ前に初めてのユニゾンで2人の声が重なるところは、ちょっと鳥肌が立つぐらいすごい。

歌が上手い声優さんはたくさんいるけれど、キャラクターが歌っていることを聞き手にありありと想像させるくらい「キャラクターそのもの」として歌い、かつしっかり「聴かせられる」技量を持つ声優さんは、そんなにはいないと思う。壮五と環は間違いなく、その才能を持った声優さん2人によって生み出された幸せなキャラクターだ。

 

恋に落ちた瞬間そのものを描いている

歌詞を読んでいない人は、今すぐ歌詞カードを開いて1万回読んでほしい。初めて恋を自覚して、加速度的に思いが深まっていく情景が、切なく鮮やかに、まるで映画を見ているように目前に迫ってくる。

歌詞を最初から順に追ってみる。

1番は、まさに「恋に気づいたその瞬間」を歌った部分で、以前から知り合いではあった「キミ」のことがなんとなく気になってはいたけれど、その引っ掛かりが何なのかよくわからずにいたものを、恋だと気づいてしまったのだというところ。2番に比べると情景は穏やかで、もう恋を知らなかった頃には戻れないのだ、と静かに悟っている様子からは、恋の熱情というより、世界ががらりと変わった幸福感のほうが強く伝わる。

2番では、1番よりもぐっとシリアスに、恋というより愛情に近いくらい情熱的な表現が並ぶ。一度自覚したら最後、思いは加速度的に深まる一方。「聞かせて」「選んでほしいよ」と、1番では全く登場しなかった、相手に要求する表現が登場するのも聴きどころだ。
笑顔だけでなく泣き顔も見せてもらえる近しさではあるものの、自分の知らないところがまだまだあるとわかるくらいの距離はある。「なにもかも今は違う」と実感もしている。だからこそ「青くて若い恋だけが持つ無敵感」が際立っているように感じる。

そして最後のサビの繰り返し、1度目のサビでは、急に視点をぐっと遠ざけ、恋するが故の切なさを描いているところがたまらない。ここまでひたすら恋の喜びを高らかに歌い上げてきたところを、別の人間であるが故に、思いを共有できないという諦観もきちんと持っている。だからこそ一緒に歩いていきたいと願っている。眩しい。清廉さで目が潰れる。

 

恋に落ちてから「どうしようもなくなる」までを描き切っている

転調してからの大サビ、この大サビが「恋のかけら」をとんでもない名曲にしていると言っても過言ではないと思う。
ここだけは歌詞を引用させていただくと

零れた Loving 小さな Fragment 変わり始める足音ひとつ
どこへ向かうの 譲れないよ
キミとの Moment 彩る Flavor 今日のすべてが恋のかけらさ
口づけてみよう…二人で
(1番のサビ)

 

零れた Loving 小さな Fragment 変わり始めた季節のなかで
この気持ちずっと譲れないよ
キミとの Moment 彩る Flavor 今日のすべてが恋のかけらさ
口づけてしまおう…二人で
(大サビ)

1番のサビと大サビは、メロディは同じで歌詞も似ているが、転調していることからもわかるように、歌っている内容は全く違う。

1番のサビが「恋に落ちたことに気づいた瞬間」を描いているなら、大サビは「恋に落ち、どうしようもなくなってしまった諦めと幸福感」を描いているからだ。

歌詞の内容をよく見比べてほしい。
最初に「変わり始める」のは、自分の恋がひとりでに歩き出した足音で、どこへ向かうのか自分でもわからない。けれど、譲れない気持ちであることだけはわかる。
ところが大サビでは「ああ、好きになっちゃったんだ。そっか。ハハ!」みたいな開放感と、「もう後戻りするなんてムリだ」という諦めと、新しい恋による幸福感がいっぱいだ。変わった季節を戻すことなんてできないのだ。「譲れないよ」という言葉にも「ずっと」と未来的な匂いのするフレーズが付け足されている。

この心持ちの違いは、1番では「口づけてみよう」だったところが、最後には「口づけてしまおう」となるところに凝縮されていて、初めてフルサイズを聴いた時に私は震えた。
キスをするとこの気持ちはどうなるのか、最初はおっかなびっくりな幼い少年の提案だったものが、大サビだと「キスをしてしまうと僕の気持ちが伝わってしまうけど、それでもいいよね?」と宣言している。この漂う色気は何事だろうか。1曲の間に一体何があったのか。

ここでのポイントは、「枯らしても伝えきれないだろう」「ためらえばもう届かないよ」とあるように、どれだけ「キミ」のことを好きか、言葉を尽くして伝えるつもりはなさそうだということ。
「零れた Loving」とあるので、抑えきれずにぽろっと気持ちが零れたとか、思わず口から出てしまったとか、そういう状況なのかもしれない。そして「今日のすべてが恋のかけら」ということで、何をどうやっても好きになるばっかりだし、言葉は無力だから、もう諦めて僕とキスしちゃお?いいよね?ということなのである!!!!

最初の!! 最初の赤い実はじけた的な淡くて優しい雰囲気はどうしたんですか!? と思いません!? 完全に恋に身を委ねちゃってる…一曲の中でこれほど鮮やかに気持ちの流れを描ききるなんて「恋のかけら」は恐ろしすぎる曲であります。作詞の真崎エリカさんが凄すぎて、天才という言葉すら陳腐…。

 

壮五と環のパート分けもツボすぎる

このように、まるで1本の映画を見ているようにドラマティックな「恋のかけら」ですが、壮五と環のパート分けにも完全に「してやられた」感があります。

歌い出しは壮五から、1番の穏やかな部分は2人で掛け合いつつ、壮五のリードで歌が進む。2人が初めてユニゾンするのはサビの前、「点と点が重なった瞬間に」という歌詞で、MEZZO"の2人を思うと二重に感動する作り(アイナナスタッフさんは天才しかいない説)。一気に情熱的な内容になる2番は環のリードで進むのも憎い。

そしてサビの最後で2人がハモるんだけど、ここ、壮五が主メロディで、環がハモリ側なんです。つまり、壮五がメインで、環はそれを支える側。実際、この部分は環の方が声が若干小さく収録されています。環が陰に入って壮五の音を支えている…!!!(号泣)

あんなことやそんなことがありまくりで「環まじしっかりして環」と吐きそうになりながらプレイしたマネージャーも多かったであろう1部。そんな試練を乗り越えたMEZZO"が歌っているからこそ、2人のハーモニーがこれほど染みる。MEZZO"の名前を冠した初シングルのA面がこの名曲であることを思うと、MEZZO"の未来はきっと大丈夫だと信じられる。

「恋のかけら」はMEZZO"の2人にしか歌えない、2人だからこそ歌える名曲だと思う。聴いていない人は今すぐ聴いてください。今なら250円払えばタダで入手できます。1200円払うとタダで歌詞カードまで付いてくるから素晴らしいよね!

 

恋のかけら

恋のかけら

  • MEZZO
  • アニメ
  • ¥250

 あ~MEZZO"がMステに出演するのはいつなのかな~

*1:今日はずっとこういうテンションです