立ち往生

基本的にネタバレに配慮していないのでご注意ください。

Code:Realizeキャラのネーミングや服装について

Code:Realizeへの愛がとまらない。コドリア最高。

ディレクター・一ジョー氏のコメントに、ネーミングや服装についても、それぞれ意味をこめているとあったので、そのあたりをつらつらと想像してみる。あらかじめ言っておくけど、呆れるほど長いよ!


【カルディア】
人類最古の国・バビロニアの地方の名前「カルデア」が語源かな。「世界が創り出された始まりの場所」である名前。
「人類を新たな歴史へと導いていく」ために生み出された少女、ということで、創世の姫君たる彼女の名前に相応しいネーミングなのかなあと思う。

最初に着せられていた服も、フィーニスのものとよく似ているというか、対になってる感じのデザインだよね。髪にあしらわれた大きな歯車は、運命の歯車に翻弄されるカルディアの生き様を表しているのかな。


【アルセーヌ・ルパン】
モーリス・ルブランの小説に登場する、言わずと知れた大怪盗が元ネタ。
カルディアの服や髪にもあった歯車が、ルパンの服にもあしらわれている。他の4人には歯車がないんだよねー。で、ルパンの左胸の歯車は、鍵の形になっている。
カルディアの運命の歯車を回す鍵、閉ざされていた世界の扉を開く鍵、それはルパンである、ということなのかな。衣装からして贔屓だ、ちくしょう!(笑)


【エイブラハム・ヴァン・ヘルシング
元ネタは、ブラム・ストーカー作「ドラキュラ」の登場キャラクターである、吸血鬼ハンター。
やっぱり左胸に付けた大きな十字架だよね。心臓の上に、常に罪を。
その十字架を下ろす時は、彼が死ぬ時だった、のかもしれない。カルディアと出会うまでは。


【ヴィクター・フランケンシュタイン
元ネタは、メアリー・シェリー作「フランケンシュタイン」の主人公である科学者。
生命の謎を解き明かすため、神の禁忌に触れ、死体を繋ぎあわせて怪物を生み出す。しかし彼は、予想に反して知恵を持った怪物に恐れを抱いてしまう。生みの親から拒絶され絶望した怪物は、フランケンシュタインの家族を殺す――。

Code:Realize」のストーリー中核に関わるキーワードがいくつも出てくるフランケンシュタインの物語。創造主を超える制作物は、アイザックの予想に反して愛を知ったカルディアのことでもあり、神に背いて生きる人間のことでもあるかもしれない。神の禁忌に触れるほどの行いに手を染めながらも、生み出した怪物を恐れ、きちんと向き合えない姿は、惨劇を生み出した罪に囚われるフランと重なるし、どこかアイザックに通じるものもある。

デザインについては、フランがカルディアを診察するスチルが出てくるまで、彼が首に掛けているものはてっきりヘッドフォンだとばかり思ってました。ハイ。


【インピー・バービケーン
元ネタは、ジュール・ヴェルヌ作「地球から月へ」「月世界へ行く」の登場キャラクター。大砲クラブの会長。
ツナギの肩出しが可愛いよね!! ベルトのバックルにも工具がデザインされててお洒落。世界最高の技師だよ、インピー!


【サン・ジェルマン】
5人の攻略キャラクターの中で唯一実在した人物、サン・ジェルマン伯爵が元ネタ。様々な不死の伝説を持つ曰くつきの人物です。
やっぱり数字の8があしらわれてるのが気になります。帽子にも服にも描かれているものね。イデアの8番目の使徒ということなのかな。そういう描写があったっけ?
上着アシンメトリーになっているのは、開眼前と後というか(笑)サンが持つ2つの自分の違いを表現しているのかなー。数字の8が大きくあしらわれている方の腕は、ガチガチに固めてあって、身動きが取りづらそう。その心までがんじがらめにされていることの表現か。


【フィーニス】
ラテン語で「終わり」を意味する、ということで、「始まり」がカルディアであるなら、「終わり」がフィーニスであったと。
始まりがあれば必ず終わりがある。始まりは、終わりの始まり。
けれど、2つは光と影のように対の存在であり、共に生きることはできない。そういう運命の暗示でもあるのかも。

カルディアが伸ばした手を自ら離すことで、アイザックという男が描き出した狂気と悲しみは終わった。アイザックはフィーニスを愛さなかったけれど、彼が愛を乞う姿はフィーニスの渇望と何ら変わらず、胸をえぐられました。


アイザック
旧約聖書「創世記」に登場する太祖の1人。
人類最初の預言者であり、神による人類救済の出発点とされるアブラハムの息子。
ヘブライ語では「イサク」と読み、「彼は笑う」という意味を持つ名前。
新しい歴史の出発点となろうとした男の名前に、これ以上の名前はないだろうなあ、という感想であります。

なお、この「イサク」は、神がアブラハムの信仰を試そうとしたがために、実の父であるアブラハムに殺されかけたり、腹違いの兄にからかわれているシーンを見かけた母親が激怒して兄を異母ごと追い出したり、なかなかハードな人生を送っています。

復活の夢を断たれたことで、アイザックは家族に会えたのだろうか。


【エルロック・ショルメ】
元ネタは、モーリス・ルブランのルパンシリーズに登場する名探偵。シャーロック・ホームズアナグラムになっているのは、ホームズの名前をそのままに登場させたところ、ホームズシリーズ作者のコナン・ドイルから文句を言われたから、とかなんとか。真偽は定かではないとはいえ、なんともエスプリの利いた話。
ホームズのイメージそのままのインバネスコートをちゃんと着ている。宿敵・モリアーティまで登場してしまったし、脇役とはいえ、愛され方がハンパじゃない。ルパンとのやりとりは面白かったなあ。
ベルトに彫られている鳥は鷲かなあ。ホームズは鷲鼻だったそうなので。


【オムニブス】
ラテン語で「すべての」「すべての人のために」という意味らしいです。イデアの総帥たる彼女に相応しい名前。
禁断の果実を模したペンダントをしているので、彼女こそが楽園を追われたイブなのだというのは分かりやすく見せてくれてましたね。イブはすべての人間の母だ。
互いへの愛のために自らの命を躊躇いなく捧げるサンとカルディアを見て「あなたたちが少し羨ましい」と言っていたオムニブス。
楽園を追われた後、アダムとの間に何があったのかなあ。彼女の歴史は人類そのものの歴史なわけで、それこそ彼女がもう一人の創世の姫君でもあったわけだ。


【ギネヴィア】
夫であるアーサー王の部下である円卓の騎士・ランスロットを愛してしまった悲劇の女王。作品にもよるけれど、攫われたり眠らされたりするばっかりで、高潔と言われつつもどちらかというとか弱さが先行した描かれ方をされているみたい。
その因果か、「Code:Realize」作中では、めったやたらと戦ってばかり。戦わねばならない宿命を背負っているということか。

カルディアにもデザインされていた歯車が、彼女の鎧にも付いているのは、イデア使徒である彼女でさえも歴史の歯車のひとつに過ぎない、というメッセージなのかなと思った。
すべての人間は、運命の歯車から逃れることはできないのかもしれない。たとえ何回死んだとしても。


イデア
古代ギリシア語で「見る」という意味。「アイディア」という言葉の語源でもあり、今もスペイン語では「思考、理念、判断」という意味で使われているようです。
歴史を正しいか正しくないかで判断していく、という意味付けからのネーミングなのかなー。
それとも、哲学者プラトンが「肉眼ではなく心の目でものを見、判断すること」と説いた時に使った「イデア」という言葉に、カルディアは毒を持つ怪物だけれど、内面は美しく優しい1人の少女であることを重ねているのかなー、とも思いました。こじつけ想像だけど。


【アレスター】
「arrest」(捕える)する人、なのだとすれば、ヴァンを捕え続けていた人物、という意味付けかな。
もしくは「arrest」には「阻む」という意味もあるので、ヴァンが前に進むことを阻んでいた人、という意味もあるのかも。
瞬間的に発生した過電圧を制限して機器を守る「避雷器」のことを「アレスター」と言うらしくて、こっちの意味だとしたら、彼は何から何を守ろうとしていたのか、いろいろ想像できるところです。

彼が持つ杖にあしらわれている蛇は、楽園でイブを唆して禁断の果実を食べさせ、人間が楽園を追われるきっかけを作り出した動物です。狡猾さのイメージかな。
それとも、相手を騙した張本人であるものの、共に神から罰を受けた連帯者でもあるという意味も込められていたりして。真に理解し合える存在を欲していたアレスターの台詞を思い出すと、この想像もあながち外れていないんじゃないかという気になります。


レオンハルト
この名前って、語源が「ライオンハート(勇敢な心)」と同じらしいです。生涯を戦いの中で過ごしたイギリス王・リチャード1世も、ライオンハートと呼ばれていたらしい。
イギリスを治める女王の側に仕える男もまた、勇猛なイギリス王と同じ呼び名を持っていたわけですね。
フランルートで、涙を流すヴィクトリアに最後まで寄り添う彼の真摯さは、涙なしでは読めなかった。それにしてもレオンハルトってドイツ語読みだそうなんだけど、彼はドイツ人なんだろうか?


【アレクサンドリナ・ヴィクトリア】
在位63年にわたる「ヴィクトリア朝」を築いた、実在のイギリス女王。18歳で戴冠の後、81歳で没するまで、ヨーロッパ周辺諸国に屈せずイギリスに繁栄をもたらした、大英帝国の礎とも言える人物。
フランルートで触れることのできる彼女の素顔を思い出して、また涙…。栄華の頂点にありながら、孤独さは想像を絶するところです。実在のヴィクトリアは、特定の部下を寵愛するあまり政局を傾けたこともあるそう。彼女にも、レオンハルトのような部下が側にいたのであればいいな…と思います。

イギリスでは、黄色は身を守るための色なんだそうで、全身黄色で染められたヴィクトリアの衣装は、彼女にとって精一杯の鎧であるという示唆なのかも。蜂っぽいよね。(笑) ヘッドドレスがカボチャみたいで可愛い。


ドラクロワ2世】
「ドラキュラ」はルーマニア語で「竜の子」を意味するそうで、「ドラクル」(竜の子)の子ども、というような意味らしい。腰につけている白いチェーンは、随分いびつな形をしているけど、もしや両親の骨だったりするのかなあ。一族はみんな自分が埋葬した、というようなことを言っていたし。


【ネモ】
「ネモ」に「ノーチラス」とくれば、ジュール・ヴェルヌ作「海底二万里」ですよねー。ネモは巨大潜水艦・ノーチラス号の船長として登場するキャラクター。ネモというのは、ラテン語で「誰でもない」。
誰からも理解してもらえず、認めてもらえなかった男の名前が「誰でもない」という意味を持つのだとすれば、人は他者から存在を認められ、愛されることで初めて存在しうる、というメッセージが込められていたりして。
ふしぎの海のナディアに出てくるネモとは随分違うキャラだけど、謎の機械を背負ってたりで、ギミックたっぷり。